僕は20代半ばから40代前半まで、腰痛で椅子に座ることができませんでした。
整形外科に受診してもX線に病変が写らないので、鎮痛剤を貰うことくらいしか治療法がありませんでした。その後、様々な民間療法(鍼灸や整体など)を転々としましたが、一向によくなりませんでした。
次第に僕は座ることをあきらめるようになりました。一日中立っていて、朝方気絶するように眠りにつくのが日常となっていました。「一生立ったまま死ぬのだ」と本気で考えていたのです。なので、どんな治療法に対しても、期待も興味もなくなっていました。
そんな中、精神科医の神田橋條治先生から紹介された大場先生のことを思い出しました。ちょうど後厄が終わろうとしている年の瀬でした。まさに「なんとなく」行ってみようかな、という気になり12月の下旬に大場先生を訪ねました。
大場先生の治療は今まで受けた治療法とは全く違う、奇妙キテレツなものに思われました。なにせ、痛いところを押したりほぐしたり一切しないのですから。ところがこの奇妙な体験のあと、僕は「なんとなく」座れるようになっていたのです。少し痛みは残っていましたが、普通に座っていられるのです。不思議とそのことに対して驚愕するようなことはなく、淡々とした気持ちで(いくぶん拍子抜けして)その喜びを受け入れました。
その数日後、クリスマスのころ2回目の治療に行きました。その治療で僕は完全に座れるようになったのです。クリスマスプレゼントのように。そのまま正月も無事に経過し、痛みが激しく再発することもなくなりました。
以来、僕は大場先生を尊敬し信頼している次第です。大場先生の治療は、彼の温かい人柄とアグレッシヴなサイエンスの融合で、アートと呼ぶべきものと僕は考えています。そこには「奇跡」のような宗教性はすこしもなく、脳を含めた身体への信頼と微細な観察力が横たわっています。ともあれ、大場先生のおかげで人生に再エントリすることができた僕は、喜んで新HPの原稿を引き受けました。
心療内科 花菜クリニック 副院長 福光武
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ご挨拶|身体呼吸道とは
1978年ころアメリカで頭蓋療法Craniopathyに関心をもってから、それ以来ずっと身体の息吹ともいえる身体内部の圧変動を感じるままに探求してきました。その過程で、日本人的な感性からハラ呼吸を意識するようになり、能の息遣い、居合のハラの据え方などを習いながら、ハラ呼吸のメカニ...
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